インスタントコーヒーの発明者については、いくつかの異なる説がありますが、広く知られているのは、日本の科学者、咲村清二が1901年に最初の実用的なインスタントコーヒー製造法を発明したというものです。
しかし、1906年にアメリカの化学者ジョージ・C・ワシントンが自身のインスタントコーヒー製品を市場に出したこともよく知られています。ワシントンは、自宅近くのコーヒー工場から出るコーヒーの香りに触発されてこの発明をしたと言われています。
また、1938年には、ネスレ社がブラジル政府の要請でコーヒー豆の余剰を解消するために、新しいインスタントコーヒーの製法を開発し、これが「ネスカフェ」として市場に出されました。
インスタントコーヒー生みの親「咲村清二」
咲村が1901年に開発した方法は現代のインスタントコーヒーの製造法の先駆けとされています。
咲村は、コーヒーの抽出液を濃縮し、その後乾燥させることによって、粉末状のインスタントコーヒーを製造する方法を発明しました。このプロセスは、現代のインスタントコーヒー製造技術、特にスプレードライ法やフリーズドライ法といった基本的な原理に通じるものです。
咲村の方法では、まずコーヒー豆を通常通りに焙煎し、挽いた後、熱水で抽出します。
その抽出液を濃縮し、乾燥させて粉末化することで、水を加えるだけでコーヒーが飲めるようにしたのです。彼の開発したインスタントコーヒーは、保存が利き、簡単に運搬できるため、特に軍隊での使用や探検家による遠征で重宝されました。
ただし、咲村清二が開発したインスタントコーヒーの具体的な製造プロセスや、彼の発明がどのように市場に導入されたかについては、当時の技術的な制約や記録の不足により、詳細が不明瞭な部分が多いです。現代のインスタントコーヒーは技術や品質において大きな進歩があったことは間違いありませんが、咲村清二の貢献はインスタントコーヒーの発展において重要な第一歩であったと考えられています。
現在のインスタントコーヒーの作られ方
インスタントコーヒーの製造過程は主に2つの方法で行われます。
スプレードライ法とフリーズドライ法です。
どちらの方法も、まずは高品質のコーヒー豆を焙煎し、挽くことから始まります。その後、コーヒー豆を抽出して濃縮コーヒー液を作り、乾燥させてインスタントコーヒーの粉末または顆粒を製造します。
スプレードライ法
- コーヒー豆の準備
選ばれたコーヒー豆を焙煎し、挽く。 - 抽出
挽かれたコーヒー豆を熱水または時には圧力下で抽出し、濃縮コーヒー液を作る。 - 濃縮
抽出液をさらに濃縮するために、一部の水分を蒸発させる。 - 乾燥
濃縮液を高温の空気が流れる大きな塔の頂上から噴霧し、細かい霧として空気中に散布する。この過程で液滴は迅速に乾燥し、細かい粉末状になる。 - 包装
乾燥したコーヒーの粉末を包装する。
フリーズドライ法
- コーヒー豆の準備
同様に、コーヒー豆を焙煎し、挽く。 - 抽出
挽かれたコーヒー豆から濃縮コーヒー液を抽出する。 - 凍結
濃縮コーヒー液を急速に凍結させ、氷の結晶を形成させる。 - 真空凍結乾燥
凍結させたコーヒー液を真空状態に置き、氷を直接気体に変える昇華させることで水分を除去する。この過程でコーヒーの味と香りがより良く保存される。 - 包装
乾燥したコーヒーの顆粒を包装する。
フリーズドライ法で製造されたインスタントコーヒーは、スプレードライ法で作られたものよりも高品質とされることが多いですが、製造コストが高いため、製品価格も高くなりがちです。どちらの方法も、コーヒーの風味、香り、色をできるだけ保持しようと開発されています。
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